”ヒノキ(檜、桧)”はみなさんにもなじみの深い木材かもしれません。桧風呂(ヒノキ風呂)や神社仏閣などにもよく使われています。しかし実際になぜここまで使われているのかやどのような特徴があるのかを聞かれた際に答えることが難しいという方もいらっしゃるかもしれません。そこでこの記事では、ヒノキ(檜、桧)の木の特徴についてや名前の由来や魅力についてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
ヒノキとは?名前の由来
ヒノキの特徴や魅力をご紹介していく前にヒノキとはどのような木なのか、名前の由来についてご紹介していきます。
ヒノキとは?
ヒノキは日本を代表する針葉樹で、日本に植えられている針葉樹の割合の内、多くを占めております。スギと比べると希少性は高い方ですが、スギと同様に日本人にとってなじみの深い針葉樹ということができます。日本では一般的な木かもしれませんが、実は世界で日本や台湾など限られた地域でしか分布していないと言われています。木造建築においては、最高級の材質といわれており、世界遺産の法隆寺にも使われていることからも建築などに向いている材質であることがお分かりいただけるかと思います。
有名な産地:福島県以南の本州、四国、九州に多く分布している。
木曽、高野山、高知県西部などが天然ものとして有名で、尾鷲、吉野、天竜、和歌山の桧は、人工造林として有名です。
ヒノキの由来
ヒノキの由来は諸説あり、すぐに火がおきやすい「火の木」としている説や神社仏閣などに使用されたり、太陽など自然を表す「霊の木」「日の木」という説があるそうです。日本書紀にも名前が登場していることから、古来から神社仏閣や住宅などにヒノキが使用されていることがわかっています。
ヒノキの特徴
次にヒノキの特徴についてご紹介していきます。
触り心地がよくて、見た目もよい
ヒノキは触り心地がよく、木目もきれいと言われています。高級感にあふれ、光沢もよいため、長年使用することによってより艶や味も出てきます。整った木肌をしているため、建築にとどまらず、様々な箇所でヒノキが使用されているのです。
耐久性が高い
ヒノキは他の木と比べて耐久性が高いといわれています。伐採直後から強度が増していくと言われており、伐採後200年でピークとなり、そこから強度が少しずつ下がっていくというデータがあります。また各項目(材質の強さや収縮率など)でも高い数値をバランスよく兼ね備えているヒノキは鉄筋コンクリートの耐久年数(30~50年)と比較しても耐久性が高いと言えます。
殺菌、抗菌効果や防虫効果がある
ヒノキには、「ヒノキチオール」という成分があります。ヒノキチオールは、殺菌力や抗菌力が高いため、化粧品や育毛剤などにも使用されていますが、国産のヒノキにはほとんど含まれていません。台湾産のヒノキに多く含まれており、国産のヒノキには、「ヒノキオール」という成分が含まれています。名前が似ていてややこしいですが、ヒノキオールには防虫効果や防蟻効果などが含まれているため、建築に向いているといわれております。ダニやシロアリなど住宅にとって大敵な存在もヒノキを用いることで、予防することができるのです。
香りがよくてリラックス効果がある
ヒノキには、消臭効果やリラックス効果があると言われています。実際にヒノキを使った実験でアンモニア臭が消えたり、悪臭の成分と化学反応によって、ヒノキの香りになるといったような効果が発見されたそうです。また消臭だけでなく、ヒノキの成分には、副交感神経を優位にする効果があると言われており、それによってリラックス効果も得られるといわれております。日本でも古くから桧風呂として使われていることからもお風呂のあったかさと桧の香りによって心を落ち着かせたり、疲れをやわらげたりなどの効果があることがイメージいただけるかと思います。
ヒノキがよく使用される箇所
この章では、実際にヒノキ材がどのような箇所で使われることが多いのかをご紹介していきます。
柱や構造材
ヒノキが使われる場面として多いのが、柱や構造材の箇所になります。上記の特徴で香りがよく、木目がきれいで美しいとお伝えしましたが、ヒノキが柱などに使われるのはこのような理由があるためです。また耐久性や耐熱性にも優れているため、建物の強度を高めることができるだけでなく、ヒノキオールの成分によってシロアリも予防することができ、木材として貴重な存在と言えます。その分他の木材と比べると高価な場合もありますが、住宅や建物を長持ちさせることもできるため、結果的なコストは押さえられる可能性があります。
風呂
「桧風呂」に代表されるように桧は、木でできたお風呂の材料としても使われることが多いです。リラックス効果があり、木の肌触りもよいため、古くから日本のお風呂文化とともに愛されている木材と言えるかもしれません。
フローリング
桧は、フローリングとしても用いられることがあります。耐久性もあり、色合いもよいため、無垢材のフローリングとして様々な住宅や建物内に使用されています。無垢材ということもあり、熱伝導性が低いため、冬は暖かく夏は涼しいフローリングを実現することができます。傷がつきにくく、劣化しにくいという点も様々な建物のフローリングにヒノキ材が用いられる1つの要因かもしれません。
各種家具
上記の3つ以外にも家具として桧はよく使われます。テーブル・タンス・椅子・本棚・ベッドなど保存性の高さもあり、普段使用されている家具の中にもヒノキ材を用いて作られた家具が存在しています。
ヒノキ材のデメリット
上記で挙げたように古くから愛され、メリットや様々な特徴をもっている桧ですが、デメリットも存在しています。そこでこの章では、ヒノキ材のデメリットについてご紹介をしていきます。
他の木材と比較して費用が高い傾向にある
上記でも少しお伝えしましたが、桧は建築用や家具などの木材として優秀なため、他の木材と比較した際に費用が高い傾向にあります。無垢材はどうしても値段が高くなる傾向になりますので、少しでも安く済ませたいという方には向いていないかもしれません。
しかし、ヒノキは傷がつきにくく、劣化しにくい、耐久性に優れている木材のため、10年~20年と中朝にわたって活用いただく際は、ランニングコストという観点も含めると結果的にそこまで高くならない場合もあります。
桧アレルギーや香りが独特な点
ヒノキの香りはリラックス効果がある一方で、中にはその匂いが苦手という方もいらっしゃいます。いい匂いか嫌な匂いかは、人それぞれですので、もし桧の香りが苦手という方や匂いに敏感でつらい方は桧を選ばないほうがよいかもしれません。
また桧アレルギーの方も注意が必要です。触ったり、触った手で触れた箇所に問題がある場合は、アレルギー症状の可能性もあります。そのため、アレルギー体質の方は注意していただくことで、症状を回避することができる場合もあります。
花粉症をお持ちの方は、桧と聞くと症状が出るかもしれないとお考えかもしれませんが、木材として使用する時は、花粉が発生しないため問題ありません。しかしなんらかの症状が出る場合は、一度専門の病院などで症状をお伝えいただくとよいかもしれません。
まとめ
今回の記事では、ヒノキ(檜、桧)の木の特徴、名前の由来や魅力についてご紹介してきました。日本では古くから使用されている木材ということもあり、普段気づいていないだけで様々な箇所にヒノキが使われています。今回の記事でヒノキの木の特徴や性質の理解を深めていただけたら幸いです。