皆さんは「合板」という言葉を知っていますでしょうか。知っている方も知らないという方もいらっしゃるかと思いますが、多くの方は「合板(ごうばん)」と読んでしまうかもしれません。しかし正しい読み方は、「ごうはん」といわれており、濁音がつかないといわれています。そこでこの記事では、そんな合板についてそもそもどのようなものなのか、合板の特徴、ベニヤ板・コンパネとの違いについてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
合板とは?
合板とは、木の丸太を薄い板にし、接着剤で貼り合わせて作った板のことを指します。別の言い方では、ベニヤ板を接着剤でくっつけたものというような言い方もできます。板を何枚重ねているかによって変わり、各場所によって必要とされる合板は変わっていきます。(一般的には3,5,7枚が多いです)厚みや幅、長さ、寸法が異なるさまざまな合板が売られております。合板に使われる木材としては、タモ・ナラ・スギの木などが国産材として用いられることが多いです。
歴史的にも古くから使用されていることが分かっており、古代エジプト時代(およそ5000年前)の遺物からも確認されているとのことです。日本でも奈良時代(およそ1300年前)くらいから用いられていると見られており、建築や生活の中で合板が古くから使用されていることがお分かりいただけるかと思います。
合板の特徴
次に合板の特徴について3つのポイントに分けてご紹介をしていきます。
大きい面積の材料を低コストで作ることができる
合板は、板を接着剤で貼り合わせていくため、大きい面積の材料を得ることが可能になります。また比較的低コストで済むため、様々な場所で使用されております。
耐久性が高い
無垢材などの1つの木から作られている材料と違い、合板は複数の板をうまく組み合わせているため、耐久性が高いと言われています。また木の含水率(木が水分を含んでいる割合)も無垢材などと比較して低いため(貼り合わせる前にしっかりと木材を乾燥させているため)、この点においても耐久性が高い理由の一つとして挙げられております。
使用しやすい
合板は、幅広い場面で使用されており、その理由の一つがどの場面でも使用しやすいからと言われております。板の厚さや枚数(張り合わされているベニヤの枚数)などを決めることができるため、建材としてはもちろん家具や近年話題になっているDIYなどの用途にも用いられることが多いです。
ベニヤ板(合板)・コンパネとの違い
ベニヤ・コンパネ・合板、この3つを混合してしまっている方も多いかもしれませんが、3つともすべて違うものになります。この章では、ベニヤ板とコンパネとはどのようなものか、合板との違いについてご紹介をしていきます。
ベニヤ板とは
皆さんはベニヤという言葉を聞いたことはありますでしょうか。ベニヤは厳密にいうと合板ではなく、ベニヤ板は一枚の板を指します。そのため、ベニヤ(ベニヤ板)とベニヤ合板は別物になります。※ベニヤを重ねて圧着するとベニヤ合板になる
丸太を薄くかつらむきにして作られており、0.6~3mmの厚さにかつらむきした板は「単板」と呼ばれます。さらに薄い0.2mm程度の厚さのシート状のものを「突板(つきいた)」と呼び、住宅の内装や家具、フローリングの表面の見た目が美しくなるように基材に貼り付けて使用されることが多いです。
ベニヤ合板にも複数の種類があり、よく使用されるのがラワン合板とシナ合板になります。ここからは、よく利用されるべニア合板をご紹介していきます。
ラワン合板
ベニヤ合板といったときにはラワン合板を指すことが多いほどメジャーな存在になります。ラワンは東南アジア原産の常緑樹で、柔らかい木質が特徴になります。多くの場面で用いられる理由として挙げられるのが、安価という点が挙げられます。また強度も高く、加工が簡単な点も多くの場面で用いられる要因の一つです。デメリットとしては、表面がざらざらしており、目が荒く素手で触るとトゲが刺さってしまうこともある点が挙げられます。売っているものの中には、穴や傷などを補修したものもあります。家具の裏板や建材の下地など、主に建物の見えない箇所に使われることが多い傾向にあります。
シナ合板
シナ合板はシナノキ(榀の木)を薄く切った単板を表面に張ったベニヤ合板になります。シナ合板の特徴として挙げられるのが、ラワン合板と違い、木肌が緻密で色は白っぽく、表面がきれいな点です。柔らかく軽い素材のため、加工がしやすく、DIYにも適している点からホームセンターなどでも見かけることの多い合板になります。
有孔合板
有孔合板は、等間隔の孔(あな)を薄い合板にあけているものを指します。吸音効果があるため、音楽室の壁などにも使用されていたり、学校の教室や建物の壁や天井などの装飾・デザインとしても活用されることが多いです。また穴にフックや棒などを差し込み、引っ掛ける収納や棚などのインテリアとしても人気を集めています。
ランバーコア
ランバーコアとは、挽板(ランバー)を芯(コア)にした合板を指します。角材(ファルカタ材や針葉樹)を並べていき、貼り合わせた表面に単板を貼り付けて1枚の合板に仕上げたもので、キッチンや棚板、テーブルの天板などによく使用されます。ラワン合板、シナ合板は共に薄板(ベニヤ板)を重ねて合板にしているため、ネジなどを打つことができませんが、ランバーコアは側面の木口部分にネジや釘を打つことができるといった違いがあります。
コンパネとは
コンパネという言葉は聞きなじみが少ない方も多いかもしれません。コンクリートパネルを略してコンパネと呼び、強度の高さからDIYなどでもよく使われる材質になります。合板の中でも、入手しやすく、価格的にリーズナブルながら耐水性にも優れているため、住宅の基礎工事の際などにコンクリート型枠としてよく使われます。基本サイズは900×1800mmで、厚さは12mmがよく使用されます。表面がガサガサだったり、板自体が歪んでいたり、上記のような特徴から装飾には向いておらず、何回も使用できるという特徴から(組み合わせたり、分解ができる)舞台美術などの場面でも活躍しています。
構造用合板とは
構造用合板は、建築などの際、壁や床の下地(構造用下地)として使われることが多い合板になります。製造業者は、「強度等級」「板の品質」「ホルムアルデヒドの放散量(シックハウス症候群対策)」など一定の要件を満たしたものが、日本農林規格 (JAS)に認められ、認定証をもらうことができます。コンパネと比較して値段は高い傾向にあり、プロ向けの建材になります。
化粧合板とは
化粧合板とは、表面に美しい見た目のベニヤを貼り付けた合板のことを指します。合板の表面に印刷した紙やビニールシート、塗装した薄板など木目模様をプリントしたものを貼り付けています。住宅の内装や家具、フローリングなど見た目をきれいにするために用いられることが多いです。
接着剤の種類
合板の種類はどのように使用するのかといった使用方法によって分けることができますが、等級でも分けることができます。
JAS(日本農林規格)という農・林・水・畜産物およびその加工品の品質保証の規格(品質基準)が定められており、合板に用いられてる接着剤の種類と強度を「特類」「1類」「2類」「3類」の4種類の等級に分けています。
【特類】フェノール樹脂接着剤
耐水性、耐熱性に優れているため、屋外など湿気が多い場所で重宝されることが多い。
【1類】メラミン樹脂接着剤
特類のものと比較すると劣るが耐水性、耐熱性、耐老化性に優れている。
【2類】ユリア樹脂接着剤
価格が安いのがポイント。安い分、耐水性は他と比べて低いが、住宅内装などの場面で使われることがある。
【3類】増量ユリア樹脂接着剤、カゼイングルー
湿気に弱く、今はほとんど使われていない→ 接着が弱く、剝がれやすい
厚さ(標準的寸法)や幅などの参考情報
普通合板
2.3 mm 、2.5 mm 、3 mm 、4 mm 、5 mm 、5.5 mm 、7.5 mm 、9 mm 、12 mm 、15mm など
構造用合板
5 mm 、5.5 mm 、7.5 mm 、9 mm 、12 mm 、15 mm 、18 mm 、24 mm 、28 mm 、30、35mm など
幅・長さ(標準的寸法)
910×1,820mm(3×6 サブロク)、910×2,430mm(3×8 サンパチ)、910×2,730mm(3×9 サンキュウ)、910×3,030mm(3×10 サントウ)
など
まとめ
今回は、合板とはどのようなものなのかや合板の特徴、ベニヤ板・コンパネとの違いについてご紹介してきました。合板は使い勝手の良さから様々な場面で使用されています。イメージとしてどのようなものかご理解いただけましたら幸いです。