「現在大工として働いていて、近い内に独立して新規開業をしたいと思っているが、どのような手順が必要か、どれくらい資金が必要かわからない」
「まずは一人親方として起業したいが、工務店を設立するのと資金はどれくらい変わるのだろうか」
今現在、大工さんとして働いている方の中で、経験や実績が増えてきたため、独立を考えているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。大工さんのような技術や実績がわかりやすい職業は、独立がしやすいといわれています。しかし、実際に独立をするとなった際に、考えておかなければいけないことがたくさんあります。そこでこの記事では、今後大工さんとして独立を考えている方にたいして独立の方法と独立に必要な資金「一人親方、工務店としての独立(一人会社として独立、従業員を雇って独立)」についてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
大工の独立の方法
まず初めに大工さんの独立の方法について2つの種類をご紹介していきます。
一人親方(個人事業主、フリーランス)として独立する
多くの大工さんはいきなり工務店を立ち上げて従業員を雇って独立するのではなく、まずは一人親方として仕事を請け負うパターンが多いと言われております。(従業員を雇わずに1人でフリーの大工として仕事を請け負っていくやり方)信頼度や行える工事の規模は工務店の方が高い傾向にありますが、従業員を雇ったり、必要な資金が増えるなど相応のリスクを負う必要があります。そのため、一人親方(個人事業主)として起業し、実績や各企業とのネットワークができてきたタイミングで工務店として法人化するパターンが多いです。腕のいい大工さんであれば、多くの企業や建設現場からの引き合いがあったり、単価自体も高かったりするので、スキルや実績がある大工さんで、自分の裁量をもって取り組みたいという方は一人親方として独立することをおすすめいたします。自分だけの人件費を考えるだけでよく、スケジュールの調整や各交渉ごとなど自分の都合にあわせやすいという点もメリットといえるかもしれません。もちろん各個人や事情によって変わってくるかと思いますので、今の状況や今後の展望を考えた上でご判断いただけますと幸いです。
工務店を立ち上げて独立する
もう一つの方法は、工務店を立ち上げて独立するという方法になります。もう少し簡単にいうと法人(会社)化し、企業として大工の独立を行うという方法になります。工務店を立ち上げ独立をする場合、2つの種類があります。
・一人会社として独立する場合
その名の通り、会社(工務店など)を立ち上げますが、従業員は一人(自分が社長で、それ以外の従業員はいない)という状況です。上記の一人親方(個人事業主、フリーランス)と少し混同してしまうかもしれませんが、一人親方という名称は同じでも中身は別物になります。個人か会社という違いで、一人会社の場合、事業の責任は会社が負い、また報酬をもらう際は会社から社長の給料としてもらう形になります。メリットとして、会社として受注を行うため、信用性が高く、資金面でも会社の数字を見るため、安心して依頼してもらいやすいという点、節税ができる点などがあげられます。一方でデメリットとして、個人事業主(一人親方)よりも各種の手続きがめんどくさい点や法人設立の費用がかかる点、法人としての確定申告が必要になる点などがあげられます。どちらにもメリット・デメリットはありますので、今後事業を大きく伸ばしていきたい方は、会社として設立することをおすすめし、面倒な手続きや処理などは極力避けて、自由にコンスタントに仕事がしたいという方は、一人親方(個人事業主)を目指してみてはいかがでしょうか。
・従業員を雇って独立をする場合
こちらも上記の一人会社と同様に法人にするという点は変わりませんが、違いとして従業員を雇うという点があげられます。従業員を雇うメリットとしては、一人では抱えきれない仕事を従業員と行っていくことで、売上の増加や様々な仕事を行っていけることがあげられます。大工さんといっても様々な種類があり、家具を作れる大工、型枠を作っていく大工など持っているスキルなどが異なることも多いです。そのため、各専門の大工がいれば、受注できる工事の幅も広がりますし、一人は営業、一人は工事専門など役割分担なども可能になります。一方でデメリットとしては、従業員を雇うため、責任が伴ったり、社会保険などの各種管理を行っていかなければいけないという点があげられます。また工事の受注が減ってくれば、従業員の給料を考慮して対策を行っていく必要もありますので、一人親方のように自分だけの領域を超えた経営視点や取り組みが必要になっていきます。実際にこのような内容を考慮して、工務店(一人会社)という形で大工の独立をする方もいますので、どちらが自分に向いているのかを一度考えてみるとよいかもしれません。
大工の種類に関しては、下記ブログを参考にしてみてください。
大工の独立資金の考え方
一人親方になる場合
工務店と違い、一人親方として独立をする際は、まとまった資金はほとんど必要ありません。初期費用と運転資金があれば、始めることが可能になります。
初期費用
まず初期費用に関してですが、事務所を構える場合は、事務所代(家賃)が必要になります。しかし一人親方の場合、自宅兼事務所という方も多いため、もし自宅を事務所にするのであれば、自宅以外に事務所の費用を払わなくてすみます。それ以外に移動に使う車、工事をする際に必要な工具などが初期費用として当てはまりますが、こちらも事務所同様に私用の車、すでに使っている工具で問題ありませんので、新しく買い替えるなどのことがなければ、初期費用はほとんどかからないと考えていただいてよいかと思います。
※500万円以上の工事を請け負う予定がある場合は、建設業許可取得費用、登録免許税などの費用が別途かかりますので、ご注意ください。
運転資金
運転資金とは事業を行っていく上で、必要な資金になります。特に建設業では、工事をしてすぐにお金をもらえるといった状況が少ないため、手元に支払いなどが起きた際の資金をもっておく必要があります。最低限毎月の支払いや税金分などの資金がないと事業が成り立たなくなってしまうため、事業を始める前に貯金や政策金融公庫などからの資金を検討していただくとよいかもしれません。また工事を終えて、請求をした際にいつ入金が行われるのかもしっかりと確認しておきましょう。月末締め翌々月払いなど2〜3か月後に入金されるといった企業もあるため、工事を請ける際は、忘れずに事前にチェックするようにしてください。
また保険への加入も重要ですので、こちらの費用も資金の中からまかなうという準備を忘れないようにしてください。
工務店として起業する場合
工務店として起業する場合は、一人親方と比較してまとまった資金が必要になります。
初期費用
初期費用ですが、事務所設立費用(必要であれば改装費や各種機器の購入)・建設業許可取得費用などがあげられます。事務所やコピー機などの機器は場所やどのくらいの性能を求めるのかによって変わってきますので、最低でも100万円以上はかかるといわれています。事務所を改装したり、立地・間取りのよい物件を選ぶと1000万円以上かかるケースもありますので、どれくらいまでなら許容できそうかを考えておくとよいかもしれません。建設業許可取得費用は約30万円と言われておりますので、事務所や登録費用、車や工具などをトータルした金額と覚えておいていただくとよいかもしれません。
運転資金
次に運転資金ですが、工務店として起業する場合、社員を雇うことが多いかと思います。そのため、上記一人親方と比べて運転資金の額は2〜3倍近くなることが予想されます。何人雇うかによって変わりますが、従業員への給料や社会保険への加入などが1人増やすごとに変わっていきますので、事前に確認しておきましょう。また請負契約を履行するためには、500万円以上の純資産(預金など)が必要になりますので、事業を始める前までに貯金や政策金融公庫など資金確保の目途を付けておくようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、大工さんとして独立する方法と一人親方(個人事業主)、工務店としての独立(一人会社として独立、従業員を雇って独立)、独立に必要な資金についてご紹介してきました。どの方法がよいかは、各個人の価値観や働き方によって変わっていきますので、まずはじめにどのような生活を送りたいかを考えていただくことをおすすめします。どれくらい稼ぎたいか、自分の自由な時間をどれくらい確保したいかなどある程度目安がついたらその働き方に一番合った独立の方法を選択していただくと後悔も少なくなると思いますので、参考にしていただけますと幸いです。
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